ど素人がど素人なりにうだうだと考えることも楽しいものです。
今冬は暖冬のために鯊の産卵が遅れている、というような話を どこからか聞いたり、
どこかのサイトで読んだこともあるのです。「暖冬のために」という のは「水温が
高いために」と解釈できます。それは「産卵を促す 適水温が存在するが、暖冬のため
その水温までなかなか下がらず、その分、産卵が遅れている」という解釈になる訳です。
しかし、いくら研究報告の類に当たってもそんなこと書いてある ものは見つからない
のです。
基本的に年魚です。産卵時期を控えた晩秋までに繁殖活動が可能な 程度に成長し
(生殖巣が成熟)、産卵に適した環境(水深や砂泥底 など)があれば、自ずと産卵を
行うと思うのです。
東京都島しょ農林水産総合センターのHPには平成14年から毎月の 東京湾内湾の水質
調査結果が掲載されています。調査地点も羽田洲・ 羽田沖・三枚洲・15号地・台場と、
正に湾奥でのハゼの繁殖地での 定点調査で、水質のみならず、調査日の気象等も
記されているもの です。
平成16年は当時「過去5年間で鯊の出現数が最高」と記載されています。同年2月の
報告では「羽田洲とお台場でマハゼの仔魚が生まれました」、3月には「羽田洲で
マハゼ仔魚の誕生ラッシュ」と書かれてあります。東京湾奥は早い年で1月末から孵化
が始まり、通常 3〜4月が孵化のピークと言いますから、同年は極めて正常と言えます。
ならばと、当時と昨冬および今冬の底層水温を比較してみると;
11月 12月 1月 2月
平成15〜16年 18.4 14.6 12.1 10.1
平成26〜27年 19.0 14.8 10.8 10.5
平成27〜28年 18.7 15.0 ? ?
水温は5地点の平均にしました。また、少数第2位を四捨五入しています。今月の調査
結果はまだ掲載されていませんが、如何でしょうか? 素人が見るに、今冬の水温が
特に高いとも思えないのです。(先月の 15.0が一見高そうに見えますが、小数3位の
四捨五入とすると、先月は 14.96、一昨年12月は14.84、平成15年12月は14.64
です) 年による個体数の違いや産卵時期のずれ(そもそもが個体差による産卵時期に
幅のある魚ですよね)はあるものの、果たして暖冬のせいで ハゼの産卵が遅れていると
言えるのかどうかとても疑問です。
マハゼは水温10度の環境でおよそ30日で孵化をするということですが、今月の水温が
極端に下がるとは思えないので例年通りのサイクルが営まれるのではないかと期待して
います。 ホームページ表紙へ 釣りの部屋へ