私の知る限りにおいては、ボイルホタテ或いは蒸しホタテ(以下、ホタテ)をハゼ釣りの餌として
使い出したのは東京の墨田区、台東区を流れる運河である横十間川での常連さんだと思っています。
私自身、2010年に横十間川で実地で拝見しています。その方は見釣りをされていました。当時の
私はもっぱらイソメ使用で、偶に桜海老・バナメイ等のエビ類を使う程度でした。2012年に一度
使用しただけでしたが、改めて2014年に使い出してからは深場での釣りも含めて今日に到るまで
ハゼ釣りの餌はホタテのみです。
私が通う江戸川放水路マルヤ遊船では桟橋釣り客の多くはホタテを使用しています。お店には
2011年から通い出しましたが、当時桟橋でホタテを使っている人を見かけたことはありません。
唯一、ボート専門の御夫婦が使っておられたと聞きます。ところがホタテ使用者はここ1〜2年の
間に爆発的に増加し、特に桟橋ではイソメ使用者を凌駕しています。面白いことに、普段は釣り
などしないような方々(憶測は禁物ですが、釣りをするか否かは見ていれば大体分かるものです)
ですら、スーパーで買ったパックそのままに持参されています。「今日初めてハゼ釣りをします」
という方々が皆さんホタテ持参だったこともあります。便利な世の中、ネットで調べられるので
しょうか?人から聞かれたのでしょうか?そもそも極一部のハゼ釣りマニアの間で秘かに広まった
であろうホタテが今や表に出て寧ろメジャーな餌となっているのです。
なんとも不思議なことだと思いますが、私自身はとても良い事だと思います。イソメが苦手な方は
老若男女問わず沢山居られます。釣りに興味はあるのだけれど、イソメが為にどうも親しめない人
という方も多いでしょうし、そういう方々にとっても朗報でしょう。
では私がホタテを利用するに到った理由はただ一点。コストパフォーマンスに優れている事です。
駅前スーパーで買えるのですから、釣行日の前日に会社からの帰路、態々釣具店へ寄るための
余計な交通費も不要です。財布に非常に優しい餌なのです。
釣果と言う意味では、ホタテが特別良く釣れるという訳ではありません。例えば、江戸川放水路の
船宿ではそれぞれ名人と呼ばれる方が居られますが、みなさんイソメ使用です。
魚の摂餌を促進させる物質を摂餌刺激物質と言うそうですが、多くはアミノ酸です。たんぱく質
を構成するアミノ酸は20種ありますが、魚種によって特に好むアミノ酸は若干異なると言う事
です。図鑑で調べると自然界のハゼは「仔魚期は甲殻類、生長するとアサクサノリやアオノリ
など植物性のもの、ゴカイなどをエサとする」と書いてあります。別の図鑑では「砂泥底を好み、
多毛類、甲殻類、貝類、小魚に加え、アオノリなどの藻類をエサとする」とあります。
アオイソメもジャリメもミミズも桜海老もブラックタイガーにバナメイやボタンエビ、それに
ホタテもすべて自然界のハゼにとっては食べたこともないものですが、それらで釣れるという
ことはそれらに含まれるアミノ酸構成が自然界で常食としている餌と類似しているという事なの
でしょう。
ホタテ餌については検索すると今や多くのブロガーがその使い方まで懇切丁寧に掲載されています
ので、今更ここで云々は止めておきますが、私の場合に就いて一言だけ書きます。ホタテを餌と
して使うのは貝柱だけです。貝柱に付いているヒモ(ミミ)、生殖巣(オレンジ色の三日月状の
部位)、エラなどは引っ張れば簡単に剥がせますが、それだけでは恐らくウロと呼ばれる中腸腺の
一部(黒い筋のような部分)が取れていないと思うのでそれも取ります。その状態が写真のもの
ですが、この状態で使用するとうまく餌付けが出来ません。



鉤を筋繊維に掛けて引っ張っても繊維がなかなか外れない(繊維がバラけない)のです。理由は
写真の白い部分(硬い)が筋繊維を結束しており、且つホタテの周囲には薄い膜があるからです。
ですから、この白い部分も必ず取り去ります(周囲の膜も付随して取れます)。
ちょっとした事で現場でのストレスも軽減されます。


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ホタテ      2017年9月28日            

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